【特別授業】バンタンゲームアカデミーOB・塩川洋介講師が直伝!選抜メンバーが受講できる「ディレクター養成ゼミ」をレポート!
バンタンゲームアカデミーでは、ゲーム制作における企画力・構成力を高める「ディレクター養成ゼミ」を開講しています。講師は、数々の大ヒットタイトルを手掛ける、ゲームディレクター・塩川洋介講師。
今回の主目的は「プレイヤーの理解が得られる面白さを組み立てられる構成力」です。
授業は前半の第一部と、後半の第二部で構成され、企画立案からプレゼンまでを体験しました!ゼミの様子をレポートします。
【1. グループでスマホ向けカジュアルゲームを企画立案】
前半は、在校生(以下メンバーと表記)が「スマホ向けカジュアルゲーム」を考案します。
第一部:チーム発表ダイジェスト
各メンバーが25分で企画を考え、テーブルごとに発表して代表案を選び、2分以内でプレゼンを実施しました。
• Eチーム:虫捕りランゲーム。左右のレーンを切り替えて虫を捕まえつつスイカで体力を回復する。
• Aチーム:ビーチフラッグ。道中の夏フルーツで加速やポイント獲得。
• Bチーム:お祭り会場を走り抜け、恋人に渡すアイテムを購入。
• Fチーム:スイカ割り。暗転演出とコマンド入力で目隠し状態を再現する。
• Cチーム:砂浜で彼女を追いかける。障害物回避でスピードアップ。
• Dチーム:日傘で彼女を日焼けから守る「テンプルラン」風ゲームを提案。
【2. 面白さを生む】
発表後、塩川講師は「今回の課題は斬新な発想力ではなく、相手の理解を得られる面白さを構成する力を見るものです」と説明。ゲーム企画は「何をするか」だけでなく「なぜそれが面白いのか」を説明できることが重要だと強調しました。
では、面白さを生む要素とは?
塩川講師が提示したキーワードは、報酬/目的/挑戦。
この3つの要素をひとつのサイクルとして組み立てることが、プレイヤーに納得感を与え、面白さの基盤を作ります。
塩川講師は「報酬/目的/挑戦が成立していないゲームは、ほぼ確実につまらない」と断言。逆に言えば、この基礎を守れば最低限は面白くできると述べ、「グラフィックや操作性、ユニークなアイデア以前に、この基盤がなければ意味がありません」と強調しました。
第一部と異なるアイデアで、かつ「報酬・目的・挑戦」を明示することが条件です!
塩川講師は「スマホ向けカジュアルゲーム」は発想の自由度を高めるためのテーマであり、最も重要なのは「誰もが欲しいと思える報酬の設定」だと繰り返しアドバイスしました。
第一部で学んだ「報酬・目的・挑戦」のサイクルを意識し、限られた時間でアイデアを形にしていきます。
特別授業を通じて、ゲームの「面白さを生む要素」だけでなく、チーム制作での役割分担や時間管理の重要性も学ぶことができました。
【塩川洋介講師PROFILE】
ファーレンハイト213株式会社 代表取締役
ゲームデザイナー・クリエイティブディレクター。
2000年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)に入社。 2009年からSQUARE ENIX, INC.(北米)に出向。帰国後、スクウェア・エニックス・ホールディングス、Tokyo RPG Factory、ディライトワークスを経て、2022年に独立。 携わったゲームに『キングダムハーツ』『ディシディア ファイナルファンタジー』『Fate/Grand Order』などがある。 著書に『ゲームデザインプロフェッショナル ー 誰もが成果を生み出せる、『FGO』クリエイターの仕事術』、監訳書に『ゲームデザインバイブル 第2版 ―おもしろさを飛躍的に向上させる113の「レンズ」』などがある。