株式会社アプリボット所属・momoharu.さんが語る。企業所属イラストレーターになるには?

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2026年5月、数々のヒットタイトルを手掛ける株式会社アプリボット所属のイラストレーター/アートディレクター・momoharu.さんによる特別講義が実施されました。

「会社に入って良かったこと・大変なこと」「会社員イラストレーターになるために意識すべきこと」「就活ポートフォリオのアドバイス」を、momoharu.さんが自身の経験をもとに語ってくださいました。後半は、在校生作品の添削会も実施!

特別授業の様子を、ダイジェストでお届けします。

【株式会社アプリボットとは】

今回の特別講義を実施していただいたのは、サイバーエージェントグループの株式会社アプリボットです。スマートフォンゲームを中心とする次世代デバイス向け情報サービスの企画・開発・運営、コンシューマーゲームの企画・開発を行う会社で、「世界震撼」をビジョンに掲げています。「最高のモノづくり集団を目指す」というコンセプトのもと、社内にスタジオ「AartS by applibot」を擁しており、プロダクト制作の第一線で活躍するクリエイターが多数在籍しています。クオリティに妥協しないモノづくりと、ユーザーファーストの姿勢が、グローバル市場で評価されるサービスを生み出しています。

1.momoharu.さんってどんな人?キャリアのスタート】

まずは、今回登壇してくださったmomoharu.さんのプロフィールからご紹介します。

 momoharu.さん(イラストレーター / アートディレクター)

2019年に株式会社サイバーエージェントへ入社。ゲームのメインビジュアル制作・アートディレクションを担当し、現在はゲーム以外の新規事業における2Dイラスト制作も手がける。

ゲーム会社に就職した理由について……

momoharu.さん「当時、スマートフォンゲーム市場が活況で、開発期間が半年から23年と短く、ゲームが次々とローンチされるサイクルだったため、『数多くの経験を積み、修行ができるのではないか』と思いました。また、『経済的に安定している』という理由もありました。あとは、僕は一人だとどうしても怠けてしまうタイプ。周りに人がいて、常に刺激がある状態の組織に属していた方が、絶対に仕事ができるだろうなという自己分析もありました」

2. 会社で働くイラストレーターって、普段どんな仕事をしているの?】

momoharu.さん「会社で働くイラストレーターにとって、『これを描いてね』と言われたものをただ描くだけの仕事は基本的にはありません。求められている課題やトラブルを、イラストを使ってどのように解決し、面白くできるか?を提案できることが望まれています」

momoharu.さんが、入社後から関わったスマートフォンゲーム『NieR Re[in]carnation(ニーア リィンカーネーション)』での経験を例に、制作の裏側を教えてくれました。ゲーム制作の現場の特長は……

  • 膨大なアセット(素材)と関わる人の多さ ゲーム1作品に必要なビジュアルの数は膨大です。社外パートナーを含めると、300500人規模の人間が連携して制作しています。
  • 「納期」が決まっている スマートフォンゲームは運用が始まったら、「いつまでにこのイベントを出す」というスケジュールが決まっています。高いクオリティを安定的に出し続けることが求められます。
  • トラブル解決とクオリティ向上 「こういうゲーム体験を届けたい」という課題に対し、ビジュアルの力でどのように解決するかが問われます。

3. 会社員イラストレーターの特権:「組織の力で、自分のやりたいことを実現することができる」】

momoharu.さんは「会社で働く大変さもありますが、組織の力を借りて、やりたいことを実現できるのが面白いです」と語ります。

その象徴的な例として、「もっとユーザーに『NieR Re[in]carnation』キャラを好きになってもらうために、ゲーム外でミニキャラを活用して盛り上げませんか?」と、自ら共同開発先の企業に提案。ビジネス面でのメリットをプレゼンし、SNSでの4コマ漫画連載、LINEスタンプ制作、コラボカフェのグッズ展開など、ゲーム外のプロモーション全般を得意とする「デフォルメキャラクター」で実現していきました。

momoharu.さん「自分の与えられた仕事を100%やり切る。その大前提さえクリアしていれば、自分のやりたいことや得意なことを実現するチャンスがあります。組織の力を借りて、公式に大きな仕事ができる。会社員ってめちゃくちゃ楽しいです!」

さらに、仕事での実績が評判を呼び、ABEMA TVのバラエティ番組のマスコットキャラクターのデザインなど、お仕事の幅が広がっていきました。会社に所属しているからこそ、クリエイターとしての可能性を広げることもできると強調します。

4. どうすれば、「会社員イラストレーター」になれるのか?】

では、会社員イラストレーターを目指すメンバーは、在学中にどのような準備をすればいいのでしょうか?ポイントは2つ。

「基礎画力」を磨く

基礎画力とは、……形が取れて、色が合わせられて、オーダーをビジュアル化できること

momoharu.さん「学生時代は、約2時間の通学時間があったので、毎日電車の中でクロッキーを描いていました。その記録をポートフォリオにも載せましたね」

正しくオーダーを受け取る「コミュニケーション能力」

勘違いしがちですが、ここで言うコミュ力とは「楽しくおしゃべりができる」「場を盛り上げられる」ことではありません。コミュニケーション能力 ……正しくオーダーを受け取る力、分からないことを放置しない力を意味します。

基礎画力=受け取ったオーダーを具現化する技術力

コミュニケーション能力=正しくオーダーを受け取る力、という定義です。

momoharu.さんは、在学中に複数のゲーム企業のインターンシップへ積極的に参加しました。そこで評価されたのは、「限られた時間の中で、スピード感を持って制作すること」だったと振り返ります。

momoharu.さん「自分の中の正解が、プロジェクトの正解とは限りません。だから自分の解釈に固執することなく、パターンをたくさん出して、チームで意見を交わしながら最善を狙います。また、インターン中に『もっと可愛くして』というふんわりしたオーダーをされた時は、周りの先輩に『このプロジェクトにおける『可愛い』ってなんですか?』と積極的にコミュニケーションを取ることを心掛けました。質問することは恥ずかしいことではありません。分からないことを、放置しないことが大切です!」

5. 評価されるポートフォリオの作り方】

講義の後半、momoharu.さんは自身が約8年前に実際に使用した就活ポートフォリオを参考に、実践的なアドバイスをくれました。

momoharu.さん「ポートフォリオの最初には、自分のいちばんの武器、もしくはその会社にいちばんアピールしたい要素を置きましょう。そのためにも、まずはしっかりと市場をリサーチすることが大切です」

メンバーの多くがポートフォリオの最初に入れがちなのが、「架空のソーシャルゲームの世界観、ストーリー、キャラクター設定」ですが……

momoharu.さん「やり方を間違えると、逆に印象が悪くなります。自分が描きたい絵に、なんとなくゲームっぽい設定をくっつけただけのポートフォリオは、『あ、この人は普段ゲームを全然やってないんだな』と採用担当者に秒でバレてしまいます」

【深さ戦略】行きたい会社や、希望のゲームジャンルが決まっているなら、その市場を徹底的にリサーチする。ゲームのUI、会話画面など、「ゲームのルールやお約束」を理解した上で制作する。

【広さ戦略】希望ジャンルが絞りきれない場合は、トレンドのジャンルを3つほどピックアップし、それぞれの絵柄に徹底的に寄せた描き分け(絵幅の広さ、手数の多さ)を見せる。

【質疑応答】

  1. コミュニケーション能力についてもう少し詳しく知りたいです。「正しく受け取る」とは、具体的にどういうことですか?

momoharu.さん「言葉通りに受け取るだけでなく、『先回りして察する・具体化する』こと。例えば、『シックな部屋』というオーダーもモダンな雰囲気か、アンティーク調なのかなど、人によってイメージする世界観は180度変わります。確認できない場合は両パターンを先回りして提示することもあります。言われたことの100%、さらにプラスアルファできることを心掛けています」

また、在校生作品の添削も行われました。事前にメンバーから制作意図、テーマを細かくヒアリングしたうえで、実践的なフィードバックを行いました。

momoharu.さんより応援メッセージ!】

最後に……「基礎画力、コミュニケーション能力があってこそ仕事を進めることができます。限られた時間の中で、安定してクオリティの高いものを作り続けることには大変さもありますが、やり甲斐も大きいです。ぜひ、頑張ってください」とエールを送りました。

メンバーのこれからの制作、そして就職活動への大きなヒントとなりました。

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